引き続き「社会的治ゆ」について触れてみたいと思います。
少し間が空いてしまいましたので、いったん前回の内容を整理してみましょう。
治ゆ:通常、傷病が治ったこと
を意味しますが、「医学的」と「社会的」という異なる視点でみるとその解釈が異なりましたね。
まず、原理原則のお話をすると、
〉障害年金に関しては、傷病がいったん治っても、再度同じ傷病が発生したときは従前の傷病と同一の傷病として取り扱われる
ことになります。
つまり、とある傷病が医学的に治ゆしたものとされたかどうかにかかわらず、前後の傷病は同じものとして取り扱われるということです。
ただ、これを厳格に適用すると、たとえば医学的に治ゆしたとまではいえないけれども、軽快して治療を必要としない状態が続いた後、相当期間をおいて再発をした場合でも、前後の傷病は同一のものとして取り扱われることになります。
したがって、再発の段階で障害年金を考えた場合には従前の(=はるか昔の)傷病の初診日を基準として要件を判断することになってしまいます。
随分と長いこと特に支障もなく日常生活を送り、仕事もしていたにもかかわらず、いざ再発したら過去の傷病との関係性を取りざたされる…一般的な感覚としては違和感を覚えると思います。
そのような事情を考慮して運用されているのが「社会的治ゆ」という解釈です。
端的にいうと、
1.症状が安定して、原則として治療、投薬を行う必要がない
2.特に支障なく働いたり、通常の生活を送ることができる
状態が一定期間継続している場合には、医学的には治ゆしたとはいえなくても、社会的に治ゆしたものとして取り扱われます。
社会的治ゆが認められると、その傷病に係る初診日は「再発後、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」とされます。
前回の情報はここまでになります。
次回は、社会的治ゆが認められるための要件をみていきます。
それでは今日はこの辺で。