さて、前回に引き続き年金証書の記載事項を確認していきます。
今回は細かな内容が多くて大変かもしれませんが、年金の額は支給停止等々、重要な情報がいくつもあります。
それではさっそく資料の⑤からみていきましょう
⑤ 厚生年金保険 年金決定通知書
支給される年金が厚生年金保険法の規定によるものであるときは、根拠条文のほか、支払開始年月や基本となる年金額など様々な情報が記載されます。
ちなみに下段には「国民年金 年金決定通知書」の記載がありますが、考えかたは同じです。
※ 1級または2級の障害厚生年金の場合、併せて障害基礎年金(国民年金)が支給されます。実務上は「障害年金」とひとくくりに取り扱われることが多いのですが、正確には異なる権利に基づいて支給される別々の年金です。
⑥ 支払開始年月
年金の支払が開始される年月をいいます。原則として受給権(=障害年金を受けることができる権利)を取得した月の翌月ですが、遡及請求が認められた際に時効により消滅した年金があるときは、実際の支払開始月とは異なる月が記載されます。
⑦ 基本となる年金額
年金には、いわゆる「本体部分」と、一定の要件に該当する場合に上乗せして支給される「加給年金額/加算額」がありますが、そのうち「本体部分の額」をいいます。
⑧ ⑦で触れましたが、一定の要件に該当する場合に本体部分に上乗せして支給される額で、こちらも「年額」で定められています。
※ 障害年金であれば、
・厚生年金(1級または2級のみ):配偶者(年収要件あり)
・国民年金(基礎年金):子(18歳年度末までの子or一定の障害状態に該当する20歳未満の子)
が加算の対象となります。
⑨ 繰上げ・繰下げによる減算・加算額
こちらは老齢年金の支給の繰上げ/繰下げを行った際に割り引かれるまたは割り増しされる金額が記載されます。
⑩ 支給停止額
年金の全部または一部が支給停止される場合には、その停止される額が記載されます。
⑪ 年金額
基準となる金額に加給年金額/加算額の加算等を行った後、最終的に厚生年金から支給される金額が記載されます。
※ この⑩の金額と、下段の「国民年金 年金決定通知書」の「年金額」に記載された金額を合算した金額がトータルの年金額として支給されることになります。
⑫ 支給停止理由
年金の全部または一部が支給停止される場合に、その理由に応じたコードが記載されます(年金証書の裏面にコード表が記載されています)
⑬ 加入期間の内訳
厚生年金の加入履歴が記載されます。
⑭ 平均標準報酬額等の内容
厚生年金の年金、一時金の額は、原則として標準報酬を用いて計算されます。つまり、お給料をたくさんもらっていたかたはより多くの年金がもらえるということです(そのぶん高い保険料を支払っています…)
いかがでしょうか?
ちなみに資料下段の「国民年金」についても基本的な考えかたは同じです(国民年金には標準報酬という概念はないので、一部異なります)。
ただ、「障害年金」というものに特化してみていくと大切なポイントがいくつかありますので、次回は「国民年金」の「障害年金」という視点で年金証書を読み解いていきたいと思います。
それでは今日はこの辺で。