さて、前回は障害年金の請求手続の流れの概要について触れました。
概要といいつつ、かなりのボリュームになってしまいましたが…
さて、そうすると「結局のところ何回年金事務所にいかなければいけないの?」という疑問が湧いてきます。
ただ、これもケースバイケースですので、一律に「●回」といいきれないのが悩ましいところです。
とはいえなんの目安もないというのもわかりづらいので、まずは「最短(と思われる)」のケースを想定してみましょう。
最短の場合、おそらく「2回」で完結すると思います。
たとえば、
① 初診日は特定済
② 保険料も確実に納付されている(すべて期限内に納付してきた、学卒後はすべて会社勤めで社会保険に加入している(保険料が給与から天引き) など)。
③ 初診の医療機関と診断書を依頼する医療機関が同じ。
というようなケースです。
補足をすると、
①の「初診日の特定」については、繰り返しお伝えしているとおり、「加入制度(=国民年金 or 厚生年金)」や「保険料納付要件」に直結するため、ここが定まらないと手続が先に進みません。
②の「保険料の納付状況」については、要件を満たしていないとそもそも請求そのものができません。
③の「初診の医療機関と診断書を依頼する医療機関が同じ」については、受診状況等証明書(=初診日証明)が不要なので、主治医に「診断書」を作成してもらえれば、後は自力で書類を手配できる、ということになります。
ですので、このようなケースであれば、
(1)初回の年金相談:①と②を確認して「手続可能」であることがわかれば、「診断書ほか書類一式」を渡される。
(2)2回目の年金相談:(1)の書類を作成し、添付書類をそろえて日本年金機構あてに提出する。
の2回で終了、という流れになります。
ところが実際にはそういったケースばかりではありません。たとえば、
〉初診日が特定できない
この場合、初回の年金相談では、まず、心当たりの調査を指示されます。記憶を頼りに受診券や領収書を探し、改めて年金相談を受けることになります。
これだけで回数が増えることになります。さらに内容不十分といわれてしまうと、改めてあれこれ調べないといけません。さらに回数が…
また、
〉初診の医療機関と診断書を依頼する医療機関が異なる
この場合、初回の年金相談では「受診状況等証明書」とそれに関連する資料だけを渡されることが多く、「受診状況等証明書ができあがったらまた来てください」という具合に、改めて年金相談を受け、次のステップ(診断書の作成)に進むことになります。
こちらも回数が増えることに。
〉受診状況等証明書を作成したら、当初考えていた初診日より前に受診歴があった。
この場合、改めて受診状況等証明書を作成するだけでなく、保険料納付要件ほか諸条件の再確認が必要になります。
これまた回数が増えることに。おまけに書類の作成費用も上乗せ…
と、いう具合に、最もシンプルなケースと比較して、前提条件が異なるとそのぶん相談回数が増えることになりまして、一律に「●回」といえないのはこういった事情によるものです。
体調が整わない中で何度も年金相談に出向くのは大きな負担ですので、できる限り回数を減らしたいと考えることはごく自然なことですが、やはり手続には段取り、順序というものがありますので、請求内容によってはやむを得ないのかな、と思います。
個人的にはこのあたりが本人請求の大きな壁になっていると感じることが多いですね。
それでは今日はこの辺で。