人格障害や神経症の診断を受けていると、障害年金はもらえない…
ということをお聞きになったかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
障害認定基準によると、
(4) 人格障害は、原則として認定の対象とならない。
(5) 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則
として、認定の対象とならない。
との記載があります。
ただ、障害認定基準には、次のような規定も設けられています。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。
…難しい(笑)
おおまかにとらえると、
〉人格障害、神経症は原則として障害年金の対象外
〉ただし、例外的に障害年金をもらえる場合もある
ということですね。
では、順を追って確認してみましょう。
神経症
神経症はその症状が長期間持続し一見重症なものであっても、
① 病状が長期にわたって持続することはないと考えられること
② 神経症は原則として治療可能と考えられること(=自己治癒可能性)
から、原則として障害年金の対象とされません。
〔自己治癒可能性〕
患者がその疾患を認識し、その状態から引き返し主体的に治ゆできるという特性
→ 現在置かれている環境を解消することにより、疾病利得(=心理的葛藤からの逃避、現実的満足(同情など))が得られなくなれば、精神症状が消失することが多く見受けられます。
【認定対象外とされる主な疾患】
・強迫性障害
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・パニック障害
・全般性不安障害
・解離性(転換性)障害
・摂食障害
人格障害
「本人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来しないもの」、つまり人格障害とは「人格の歪み」であって、病気とはとらえられていないのです。
人格障害(パーソナリティ障害)についても、原則として障害年金の対象とされません。
【認定対象外とされる主な疾患】
・妄想性パーソナリティ障害
・統合失調質パーソナリティ障害
・非社会性パーソナリティ障害
・衝動型パーソナリティ障害
・境界型パーソナリティ障害
・演技性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害
・不安性[回避性]パーソナリティ障害
・依存型パーソナリティ障害
・病的賭博(ギャンブル依存症)
・性同一性障害
例外
障害認定基準では、「ただしその臨床症状から判断して精神病(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害または気分(感情)障害)と同様の病態を示しているものについては統合失調症または躁鬱病に準じて取り扱う」としているので、この要件に該当するときは障害年金の対象とされます。
※ 障害認定基準上、「人格障害」にはこの例外規定は設けられていませんが、一般に神経障害と同じように取り扱われるものとされています。
対応
精神の障害用の診断書の「①欄」に精神病の傷病名を併記してもらえれば確実ですが、診断するのは医師ですから、相談をしてもそのとおり対応していただけるとは限りません。
そのような場合でも方法はありますが、事案ごとに対応が異なりますので、ひとくくりに「こうしましょう」とはいえないのが現実です。
このような状況で障害年金の申請を迷われているかたはいらっしゃいませんでしょうか?
よろしければ無料相談にてお伺いすることもできますので、まずはお問い合わせください。
それでは今日はこの辺で。