障害年金と障害福祉サービス

「障害年金」と「障害福祉サービス」はそもそも別の制度です。したがって手続は各々行わなければなりませんし、どちらかを受けているからもう一方も、という関係にはありません。

ただし、両者は相互補完的な役割を果たしており、実際にその恩恵を受ける場合、利用者の生活全般を考慮して適切に組み合わせることでより充実した生活が送れるのではないかと思います。

以下、思いついた内容を取りまとめてみます。

経済的支援と生活支援

障害年金は主に所得保障としての役割を担っています。「所得」ですから、支給された年金をどのように使うかは受給権者(=年金を受け取るかた)の事由です。

これに対し、障害福祉サービスは日常生活や就労を支えるための直接的な支援を提供します。

たとえば、重度訪問介護を受けながら障害年金で生活費を補填することで、在宅で安定した生活をおくることができます。

年金は「手段」であって、「目的」ではないと考えています。年金という経済的支援をどのように活用するかはご本人様次第、というところでしょうか。

申請要件、申請対象

障害年金を請求するときは、①初診日要件、②障害認定日要件(いわゆる障害の程度)、③保険料納付要件を満たしている必要があります。

いっぽう、障害福祉サービスは障害者手帳の等級や自治体の判定に基づくため、利用条件が微妙に異なる場合があります。

たとえば、障害年金が支給されない軽度の障害でも、利用可能な障害福祉サービスがあったりします。

ちなみに「障害者手帳が2級だから2級の障害年金がもらえますよね?」というご質問をいただくことがありますが、冒頭でも記したとおり「別の制度」ですから、イコールにはなり得ません。

就労支援との関係

障害福祉サービスの「就労移行支援」や「就労継続支援」は、働くための準備、個別の就職支援を受けたり、実際に就労して賃金や工賃を得ることができるサービスです。

たとえば障害年金の請求の際、診断書や病歴・就労状況等申立書に記載することで、「就労」に際し必要となる支援、就労状況を詳細に伝えることができます。

地域差

障害年金は全国一律の制度です。手続も居住地に限らず全国の年金事務所等を通じて行うことができます。

これに対し、障害福祉サービスは地方自治体により提供内容が異なるため、住んでいる地域の制度を確認し、適切なサービスを選択することが大切です。

手続のサポート

障害年金、障害福祉サービスいずれも本人が行うことを原則としていますが、体調が整わず手続が負担になる、専門性が高いためよくわからない 等々、ハードルが高いのも事実です。そんなとき、障害年金であれば年金事務所の年金相談だったり、障害年金専門の社労士を活用するのも一つの方法です。また、障害福祉サービスであれば相談支援事業所で特定相談を受ける、という方法もあります。

まずは「どこに、何を相談するのか」を明確にしたいですね。

それでは今日はこの辺で。